カルバマゼピンの精神作用

カルバマゼピンは1957年に作られた薬の成分であり、海外では1963年にはてんかんの治療薬として販売され、日本では1966年から利用されているので薬の中でも比較的古くから利用されている成分となります。
その精神作用について説明をすると、ナトリウムチャネル阻害作用がある事が知られています。
このように説明しただけでは知らない人だと分かりにくいので、脳の神経の伝達の仕組みについて述べます。
脳の神経というのは電気信号によって情報の伝達が行われています。
その電気信号を送るためには神経細胞にイオンを取り込む必要があります。
ナトリウムやカルシウムのような正の電荷をもつイオンを取り込んだ場合は電気的に興奮するよう信号が送られ、塩化物のような負の電荷をもつイオンの場合は電気的興奮を抑制する作用があります。
そして、てんかんというのはこの電気信号の異常によって興奮状態となっているのです。
神経細胞に正の電荷をもつイオンが取り込まれる事によって興奮状態になるには、各イオンに対応しているイオンチャネルを通過する必要があります。
カルバマゼピンはナトリウムチャネル阻害作用があると最初の方で説明しましたが、これはナトリウムイオンが神経細胞内に取り込まれるのを抑制する効果があるという事です。
ナトリウムイオンが神経細胞内に取り込まれないという事は電気的興奮状態を抑えるという事にもなり、そうした作用によっててんかんの症状を抑えられるのです。
また、てんかんだけでは無くて三叉神経痛や躁うつ病の躁状態に対しても有効であるのは、こうした脳の神経細胞に対して働きかける作用があるためです。
カルバマゼピンは同時に副作用が出る事もあり、眠気やめまい、頭痛といった症状以外にも稀に重篤な症状が出る事もありますので、取り扱いには十分な注意が必要となります。

カルバマゼピンと躁病

躁病とは精神障害の気分障害に分類される病気のことを言います。
精神的に興奮状態となって支離滅裂な言動を発したり、怒りっぽくなったりしてしまう病気です。
逆に気分がひどく落ち込んでしまう状態と躁状態を繰り返す場合もあり、これを躁うつ病と言います。
この躁病の原因としては脳神経の興奮状態が挙げられます。
この躁状態を抑えるためには脳の興奮状態を抑える必要があります。
このために使用される薬の1つにカルバマゼピンというものがあります。
カルバマゼピンは神経細胞の表面に存在するナトリウムチャネルの機能を阻害します。
ナトリウムチャネルはナトリウムイオンが細胞内外を行き来するための交通路のようなもので、普段は閉じられた状態となっています。
しかし脳神経が興奮状態となるとナトリウムチャネルは開口します。ナトリウムイオンは細胞内濃度が細胞外濃度よりも低いため、ナトリウムチャネルが開くと細胞外から細胞内へ流入しようとします。
神経細胞は普段は細胞内がマイナスの電荷を帯びていますが、プラスの電荷を帯びたナトリウムイオンが流入することで細胞内がプラスに転換します。
これを脱分極といいます。この電気状態の変化こそが脳神経の興奮なのです。つまりカルバマゼピンの使用でナトリウムチャネルの機能を阻害することによって神経細胞が興奮できなくなり結果として躁状態を改善することが期待できるのです。またてんかんの持病のある方で躁状態の精神症状が発現することもありますが、このようなてんかん由来の躁状態に対しても治療効果が期待できます。
しかし前述のとおり躁状態とうつ状態を繰り返す躁うつ病の方に使用するとうつ状態を悪化させる恐れもあるので注意が必要です。

カルバマゼピンと鬱病

カルバマゼピンは、てんかんの発作を予防する薬で、躁鬱病の治療や神経痛の症状の緩和にも有効になっています。
働きとしては、脳神経の興奮を鎮める作用があり、それによって、てんかんの発作を予め予防できるわけです。
特に部分発作に効果が高く、様々な運動障害のほか、感覚異常や自律神経失調症、精神変調や精神無反応に適用できます。
全般発作においては、強直間代発作に適用できますが、欠伸発作やミオクロニー発作、そして脱力発作に関しては、効果が薄いと言われています。
脳の神経を鎮めることで、気分の高まりを抑えることが出来、躁病やうつ病の他に、様々な精神疾患の不安症状を改善することに繋がります。
三叉神経は顔の知覚を伝達する神経ですが、この神経に起因して三叉神経痛が生じます。
発作性激痛性が特徴となっており、一般的に持続時間は短くなっています。
カルバマゼピンには、三叉神経痛の緩和効果もあり、三叉神経を鎮めることで、激しい痛みを抑えることが出来ます。
この作用は、統計上、半数以上の患者に有効になっていますが、服用期間が長くなると、効果が薄れるケースもあります。
歴史が長い治療薬になっており、症状緩和の第一選択薬になる場合が多いものです。
そして、安定した効果が得られるので、神経痛の治療にも用いられているわけです。但し、重い血液障害やアレルギーを持っている人は、服用に適さない場合があるので、注意が必要です。
また、他の薬との飲み合わせとしては、抗真菌薬のポリコナゾールや肺高血圧症治療薬のタダラフィルなどとの併用は禁止されています。
食品との飲み合わせでも、グレープフルーツ類は極力摂らないことが大事です。
飲み合わせてしまうと、薬の血中濃度が上昇するので、副作用がでやすくなるからです。

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